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要旨:太宰治(1904‐1948)、本名津島修治で日本の小説家である。日本戦後の無頼派文学の代表作家である。戦前から戦後にかけて多くの作品を発表し、戦後の貴族一家を描写した『斜陽』はベストセラーとなる。その作風は坂口安吾、織田作之助、石川淳らとともに新作派と称される。主な作品は『走れメロス』、『津軽』、『御伽草紙』、『人間失格』などがある。
本文は太宰治の代表作―『斜陽』を中心にして研究を進めたいと思う。主に三つの部分からなっている。まず第一部分、作品の概況から着手し、小説中の人物や物語の進展を一応紹介する。そして、第二部分に入り、即ち『斜陽』における主な人物かず子、直治の矛盾した心理について具体的に分析する。また、前の分析を基にして、各自の矛盾した心理に対して反応した認知の違いを比較する。第三部分は主人公の矛盾した心理と作者自分の関係、そして戦後の日本社会環境という角度から、人物の内心の矛盾が存在する客観的な原因を研究する。
本文は先行研究を基に、『斜陽』における人物の矛盾した心理の研究を通じて、太宰文学の細やかなところを感じていて、また思想が行為を支配し、人の心理が行為を決め、そしてその人の結末を決めるということを認識した。人物の描写は人物自身の運命だけではなく、作者と置かれた社会にもずいぶん関わる。そのほか、この研究を通して、太宰治及びその作品についていっそう分かるようになった。
キーワード:『斜陽』 矛盾した心理 太宰治 戦後日本
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
1 作者及び作品の紹介-1
1.1 太宰治について-2
1.2 作品のあらすじ-2
2 人物の矛盾した心理について-3
2.1 かず子の矛盾した心理-3
2.1.1 庶民の生活に溶け込みたいかず子-3
2.1.2 貴族らしい貴族性への憧れ-4
2.2 直治の矛盾した心理-5
2.2.1 貴族身分への葛藤-5
2.2.2 母への愛情-6
2.3 二人の矛盾した心理の比較-6
3 作者自身と戦後日本からの影響-7
3.1 心境の変化と作者自身との関係-7
3.2 心境の変化と戦後日本との関係-8
おわりに-9
参考文献-10
謝 辞-11