要旨:  本稿では、東野圭吾の作品『白夜行』と『容疑者Ｘの献身』を取り上げ、作品における女主人公の女性像を分析し、その上で東野圭吾が作品を通して指摘した社会問題を明らかにしたい。本稿の分析から、雪穂は罪まみれの「悪女」であるが、靖子は東野氏の作品における多くの悪女と違い、母性を貫く「聖女」であるという結論が出た。しかし、「悪女」である雪穂でも「聖女」である靖子でも最後は犯罪者になった。その原因を掘り起こすことが本稿の最大の目的である。色々研究した上で、それは当時の社会環境、自分の生活経験と大きな関係があるということがわかった。

キーワード:  東野圭吾; 悪女; 聖女; 犯罪

目次

要旨

中文摘要

1.はじめに-1

1.1東野圭吾について-1

1.2先行研究-1

1.2.1日本における研究-1

1.2.2中国における研究-2

1.3研究意義と目的-2

2.『白夜行』と唐沢雪穂-3

2.1『白夜行』について-3

2.2「悪女」である雪穂-3

2.2.1嫉妬深い女-3

2.2.2自分まで利用する女-4

2.2.3徹底的な利己主義者-4

3.『容疑者Ｘの献身』と花岡靖子-6

3.1『容疑者Ｘの献身』について-6

3.2「聖女」である靖子-6

3.2.1情にもろい女-6

3.2.2必死に娘を守る母親-7

3.2.3自分だけの幸せへの拒否-7

4.同じ結果に終わる原因-8

4.1悲惨な人生経験-8

4.2社会環境-8

4.2.1経済力の不足-9

4.2.2男性社会における不平等-9

5.終わりに-10

5.1まとめ-10

5.2今後の課題-10